皆さんは、「カスタマージャーニーマップ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
UXデザインに欠かせないものであり、マーケティングの世界でもよく活用されるフレームワークです。
売れティーUX講座の第4回で2記事にわたってお届けするテーマは、カスタマージャーニーマップ。
前編となる今回の記事では、カスタマージャーニーマップがどういうものなのかについて、網羅的に理論面を解説していきます。
この記事を読むと・・・
●カスタマージャーニーマップの概念と意義がわかる
もくじ
カスタマージャーニーマップとは?
カスタマージャーニー=顧客が購入するまでのプロセス
まず、「カスタマージャーニー」という言葉をそのまま訳すと「顧客の旅」。
もちろん本当の旅行の話ではなくて、顧客が顧客となる、つまり商品を購入するに至るプロセスを、比喩的に表した言葉になります。
たとえば、あなたの手元にあるスマホ。
どんな流れで購入に至ったか、覚えているでしょうか。
ちょうど機種変更を検討しているとき、テレビのCMで存在を知って興味を持ち、店頭に行って店員さんに詳しく話を聞く。
他の機種と比べてもやはり自分に合っていそうだと思い、購入を決める。
その後、使うごとに馴染んできて、今ではすっかりそのメーカーのファンに。
こんなストーリーがあれば、それがひとつのカスタマージャーニーです。
そして、これを図にまとめたものが「カスタマージャーニーマップ」となります。
カスタマージャーニーマップの例
実際のカスタマージャーにマップはこんな感じ。
今回は、寝具店が開発・販売している「車中泊特化型マットレス」というケースで、カスタマージャーにマップを作ってみました。
ポイントは、顧客と商品との接点を整理しつつ、各ポイントで発生する感情にフォーカスしていること。
主に、この感情がマイナスになる点を優先して、課題解決を目指していくことになります。
カスタマージャーニーマップの特徴
このフレームワーク最大の特徴は、ユーザーとのタッチポイントと行動・思考・感情と、課題を合わせて検証できること。
ユーザーのことを深く理解すると同時に、「どの場所に問題があるのか」「どの問題が大きいのか」をより明確にすることができます。
AIDMAやAISUSなどのフレームワークとの違いがここにあって(そもそも目的も異なりますが)、感情まで掘り下げた上で課題を抽出する点において、非常にUXデザインと相性がいいと言えるでしょう。
もちろん、その分つくるのも簡単ではありません。
製作者の思い込みや「なんとなく」で作ったものには意味がないので、きちんとインタビューやアンケートをとるなどして、客観的なデータに基づいて組み立てていく必要があります。
カスタマージャーニーマップの目的と重要性
ユーザーの行動から思考・感情・課題を俯瞰できる
目的というよりは、カスタマージャーニーマップの肝とも言えるかもしれません。
「広告はどうか?」「パッケージはどうか?」「製品の仕様はどうか?」「アフターフォローはどうか?」と、顧客との接点をポイントごとで見ていくのではなくて、全体の流れを見ながら、各フェーズにおける課題を整理する。
これがあることで、成果の出る施策案を出したり、その優先度をつけていくことが可能になります。
チーム内で購買の流れを共有できる
顧客が製品を購入する流れをチームで共有することで、必要な取り組みへの認識のズレを防ぐことができます。
製造部門や営業部門、マーケティング部門など、立場が違うとどうしても自分に関わるフェーズの施策を中心に考えがちですが、全体像が見える化されることで、組織を横断した戦略立てをしやすくなります。
ユーザー目線で施策を検討しやすくなる
カスタマージャーニーマップはユーザーの行動・感情をなぞっていくものなので、当たり前ですが、ユーザー目線で物事を考えやすくなります。
どうしても「企業が伝えたいこと」「企業が売りたいもの」を前面に出してしまいがちですが、本当に顧客が求めているのは? という視点をブレずにもつためには非常に有効なフレームワークです。
特にUX領域はユーザー中心で考えることが大原則なので、UXデザインにおいては軸にもなることも多いでしょう。
カスタマージャーニーマップを作ってみよう
カスタマージャーニーマップのことを知っても、いざ作るとなると色々な準備が必要になります。
まずは、「ゴール」と「ペルソナ」を準備しましょう。
何を達成するためにカスタマージャーニーマップを作るのかが明確でないと、せっかく作っても活かせません。
「問い合わせ数を増やす」「ECサイトの売上をアップする」「ブランドイメージの向上」など、最終目標を設定することで、カスタマージャーニーの中で着目するポイントも定まってきます。
また、ユーザーの行動を追うためには、ペルソナの設定も不可欠。
(ペルソナの作り方は、また別の記事で紹介します)
これらが準備できたら、いよいよカスタマージャーニーマップの作成に入ります。
記事の後半「実践編」で、詳しい作り方を見ていきます!
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