前回の記事では、人にはそれぞれ「脳が自然に発揮できる思考のスタイル」というものがある、というお話をしました。
たとえば、上司から突然「新しいプロジェクトを立ち上げる」と言われたときに、ある人は「何のために立ち上げるのだろう?」と考えて、またある人は「私の役割と手順は?」と思う。
あるいは「誰がプロジェクトに参加するのか?」と考える人もいれば「どんなプロジェクトだろう?」という人も。
これは、その人の「効き脳=思考のクセ」に大きく左右されていて、「ハーマンモデル」という手法では4パターンに分類される、というものです。
詳しくはコチラの記事を参照してみてください!
今回は、そんな「効き脳」の考え方を活用して、いかにして良好なコミュニケーションを取るか、について解説していきます。
この記事を読むと
●自分の身の回りの人との相性がより明確になります
●自分と違うタイプの人とのコミュニケーションを見直すきっかけになります
●「自分の言葉が響かない人」に違うアプローチができるようになります
最後まで読んで、実生活に生かしてみてください!
もくじ
コミュニケーションの相性は「効き脳」に左右される!
「効き脳」の4象限
じゃあ今回は、効き脳タイプごとの相性と、それぞれのタイプの人に対してどんなコミュニケーションを取るといいのかを解説していくよ!
はじめに注意しておきたいのは、「誰もが4象限のどれか1箇所に当てはまるわけではない」ということ。
2つ、3つ、あるいは4つの特徴をバランスよく持った人もいます。
「BとCの特徴を持っていて、特にどれかが強い」とか「友人といるときはC強いけど、仕事になるとAが強くなる」とか、特徴の出方も人によって様々です。
現に、僕(カズヤ)はDAタイプ、アツシはCADタイプという結果が出ています。
ということで、あくまでも「傾向」という認識で読んでいってくださいね。
この4象限、ちゃんとそれぞれの位置に意味があります。
まず、左側に位置しているAとBが強いのは左脳の働き。左脳は論理的な思考を扱い、「言語脳」とも呼ばれます。
それに対して、右側のCとDは右脳の働きが強いタイプ。右脳は感性や創造性を働かせるときに使う「イメージ脳」です。
続いて、横軸が表すのは脳の部位。
下のB、Cタイプに強く表れる大脳辺縁系の働きは、いわば動物が本来もつ「本能」の部分。
群居(群れをつくること)への欲求もここにあり、これが組織化や愛情(種を残すための子育て)にもつながります。
上のふたつ、A、Dのタイプに強く表れるのは大脳新皮質の働き。理論など、人間に特有の脳の動きを司っています。
※脳の部位と働き方については、最新の脳科学で色々な説が出ているようです。あくまでも、ここは今まで言われてきた一説くらいの認識でお読みください。
象限の位置関係によって相性が変わる!
実は、コミュニケーションの相手が「自分の象限に対してどの位置にいるか」によって、相性が変わってきます。
コミュニケーションの相性が良い順にひとつずつ解説していきます。
あくまでも、効き脳の観点から見たときの相性です。
当然ながら他にも色んな要素が関わってくるし、個人差もあるので、これにとらわれすぎたコミュニケーションはNGです!
同じ象限同士(A-A、B-B、C-C、D-D)
【相性】★★★★
【創造性】★☆☆☆
同じタイプ同士は、基本的に考えるベクトルが近くなるので、相性は抜群。
波長が合うので、一緒にいてとても楽な関係性で、気のおけない友人として長く付き合っていくには最高の存在と言えます。
これまでにもやってきた仕事、慣れた仕事に一緒に取り組むときは、スムーズに進んでいくでしょう。
反面、発想が同じである分、井の中の蛙状態になりがち。
新しいことをやろうとしたり、ぶつかった課題を解決するためにクリエイティビティを発揮しなければならないときは停滞してしまう可能性が高くなります。
上下の象限関係(A-B、C-D)
【相性】★★★☆
【創造性】★★☆☆
左脳派同士、右脳派同士の関係性。
この関係の人は、興味・関心のベクトルが近い反面、アプローチの仕方が異なるため、「分かったようで、分かっていない」という状況になりがちです。
例えば、AタイプとBタイプの夫婦が「得たお金をどうするか?」と話して、二人とも「貯める」と答えるとします。
一見すると同じ発想をしていますが、実はAの人は「◯◯したいから●●円貯めよう」、Bの人は「貯めておくと安心だから」と考えていたりするんですね。
お互いのことを「分かった気になる」ので浅いところでは仲良くなれるのですが、いざ一緒に仕事などを進めようとするとズレが気になるようになってきます。
左右の象限関係(A-D、B-C)
【相性】★★☆☆
【創造性】★★★☆
となり同士の象限の人は、補完関係です。
興味関心が違うので、あまり話は合いませんが、お互いに「自分にないものを持っている」ということを感じられます。
職人気質で、徹底的に自分の料理の質にこだわるコック(ABタイプ)と、店を楽しい雰囲気で回すウェイター(CDタイプ)は、気が合うようには見えませんが、店をやっていく上ではきっとお互いに必要だと感じますよね。
明らかに違うけれど、「お互いに埋め合わせられることがわかる」のがこの関係だと言えます。
対角の象限関係(A-C、B-D)
【相性】★☆☆☆
【創造性】★★★★
反対側の象限の人同士は、基本的には相性最悪です。
発想の仕方が真反対なので、お互いに「あの人はまったく理解できない」となりがち。
間に入る人がいないとなかなかうまくいかないかもしれません。
逆に言うと、お互いにまったく持っていないものを持っている関係性でもあります。
上手に組むと、それぞれが思い至らないところに気づき、補い合う関係になるので、いい仕事をするためには欠かせない存在であるとも言えます。
思考スタイルからすると遠すぎる存在なので、分かり合えない、というか「お互いのことを分かっていないことさえわからない」くらいに水と油であることも多い関係です。
なんとなく苦手な相手には、アプローチの仕方を変えてみよう!
覚えておきたい!タイプ別アプローチ
Aタイプ「理性人」へのアプローチ
○結論を完結に、はっきりと伝える
○根拠として客観的なデータや数字を示す
○「なぜそれをするのか」を説明する
○要点を箇条書きにして伝える
○フィーリングを押し付けない
○「好き・嫌い」ではなく議論を楽しむ姿勢を見せる
○非効率的なことを強要しない
Bタイプ「堅実人」へのアプローチ
○具体的な手順や計画を伝える
○過去の事例や実績を伝える
○安全性や、リスクが少ないことを強調する
○規則・ルールを明確にする
○順序立てて話をする
○あいまいな指示や依頼を避ける
○突飛なアイデアをぶつけない
Cタイプ「感覚人」へのアプローチ
○気持ちを伝える
○「誰のためになるか」を伝える
○チームで協力して進める
○直接向き合って話をする
○きちんと話を聞く姿勢を見せる
○共感する
○言葉に出して認めたり、褒めたりする
Dタイプ「冒険人」へのアプローチ
○最終的なゴール、目標を伝える
○考えたことやアイデアを自由に出させる
○抽象的なイメージを伝える
○「新しいこと」を強調する
○ディテールを求めすぎない
○ユーモア、面白さを重視する
○型にはまった作業を任せる
どうですか?
あなたもこう言われたら嬉しいとか、やりやすいとか、当てはまるカテゴリがあるのではないでしょうか。
反対に、全く当てはまらないカテゴリがある場合、そのタイプの人とはなかなか気が合わないかも。
もし身の回りに「合わないなぁ」と感じている人がいたら、意識的にこんなアプローチをしてみては?
今までになかった好反応が返ってくるかもしれません。
次の記事は、「効き脳」三部作の最後。
チームという観点でメンバーの効き脳を見て、思考スタイルの違いをどう活かせばいいチームができあがるのかについて、じっくり解説していきます!