「ああ、今日は定例会議がある。嫌だなぁ」なんて愚痴、言ったり聞いたりしたことのある人は多いのではないでしょうか。
むしろ、会社勤めしたことがあれば、「無駄な会議」はほとんどの人にとってあるあるとさえ言えるかもしれません。
誰もが無駄だと思いつつ、なくならないのは、有意義な会議というのがどんなものなのかを知らないから。
今回は、会議の無駄をなくして、仕事の生産性をアップしたり、会議の場そのものを楽しめるようにするために、すぐにできることを紹介します。
「良質な会議」は、チームビルディングにも欠かせない要素です。
チームのメンバー同士のいい関係を築き、よりよい仕事をするために、会議のコツを学んでみましょう。
この記事を読むと・・・
●みんなが同じ方向を見た会議ができる
●会議の無駄を削減できる
●会議を通して、メンバーの関係づくりにつなげられる
もくじ
会議の前に、何の会議なのかを明確にする
一口に会議と言っても、いくつかの種類があります。
何の会議なのかを共有しておかないと、ただ情報を共有すればいい場面で新しいアイデアについての議論が始まってしまったり、反対に色んな人からの意見を集めたいのにほとんどの人が聞き手に回ってしまったりと、うまく回らなくなってしまいます。
まずは、全員で会議の位置づけを正しく認識するために、ざっと分類してみましょう。
情報共有会議
各々の仕事の進捗状況や抱えている問題、あるいは全員が知っていたほうがいい有益な情報などを共有するための会議です。
意見を交わすのではなく、一人ひとりが決められたことを伝えるだけなので、時間は区切りやすくなるでしょう。
場合によっては、会議という場を設けなくても、情報共有ツールやチャットで完結させることもできるので、本当に顔を合わせて話す意義があるかどうか、見直してみてもいいかもしれませんね。
スケジュール調整会議
その名の通り、関係者のスケジュールを調整するための会議。
仕事を振ったり、共同で何かをしたりする日程を合わせるほか、スケジュールが厳しい人のフォローについて検討したりもします。
この会議も、他のツールやチャットなどで代替できるケースが多くありそうですね。
アイデア出し会議
商品や企画など、参加者から広くアイデアを集めるための会議です。
ブレーンストーミングなどを活用することも多く、意見を比較・検討したり、議論をするよりも、とにかく土台となるアイデアをたくさん出すことを目的とします。
アイデアからまた別のアイデアが想起されるようなことも期待されるので、顔を合わせて実施することにも意義を見出だせます。
課題解決会議
現在抱えている課題を解決するために、どんな施策をとるかについて検討していく会議です。
「アイデア出し」の要素が組み込まれたり、課題をあぶり出すところから取り組むこともありますが、お互いに意見を出し合い、煮詰めていく工程が中心になるので、最も会議というイメージ通りの会議と言えるでしょう。
最もまとめるのが難しいタイプの会議ですが、この会議で建設的な話し合いが出せるかどうかは、組織としての強さに直結します。
意思決定会議
決裁権者が参加し、最終的な意思決定を行うための会議です。
その場で意見交換をしながら決済していくことももちろんありますが、事前に根回しがされていることも多く、会社によっては形だけのものになっているところも少なくありません。
有意義な会議にするために、今すぐにやれること
さて、今回のメインパートです。
会議を少しでも有意義なものにするために、理想はファシリテーションスキルを学び、組織全体としても会議に対してのマインドを作っていくことですが、決して一朝一夕でできるものではありません。
そこで今回は、次の会議からでもさっそく実行に移せる会議のコツを4つに絞って解説していきます。
なお、上で書いた分類のうち、最も複雑でコントロールの難しい「課題解決会議」を想定してのお話です。
【1】ゴールを決める
この会議を通して、何に対して回答や合意を得るのか、どこに着地するのか、明確に決めて参加者に共有します。
例えば、「今期の売上改善策について」というテーマで会議をするにしても、それだけでは最終的にどうなれば会議が完結するのかわかりませんよね。
●売上が上がらない原因を挙げて、その中から、向こう半年で対策の打てそうなものを3つあぶり出す
●売上改善策に優先順をつけ、それぞれのプロジェクト責任者を決める
など、できるだけ具体的にゴールを決めておくことで、大まかに話し合いの流れができるうえに、あちこちに議論が散らかっていくような事態を防ぐことができます。
【2】時間とアジェンダを決める
よく言われることですが、時間をしっかり区切ることで、ダラダラと時間だけが流れる会議をなくします。
終了時間を決めることはもちろんのこと、各議題ごとの所要時間も決めておくことで「話がぜんぜん進んでいないのに終了時間に・・・」なんてことも起こりません。
売上改善策についての会議なら、こんな具合でしょうか。
1)挨拶・前提の共有→3分
2)売上不振の原因について→10分
3)対策する原因の優先度→5分
4)対策案出し(ブレスト)→10分
5)実施する対策の絞り込み→10分
6)今後の流れについて→5分
7)まとめ→2分
ここまで細かくしておけば、1時間の会議も余裕をもって終われそうですよね。
ポイントは、参加者全員が時間割を把握して、時間厳守の意識を持って発言すること。
そうすると、各々が「簡潔に話そう」「そろそろまとめに入ったほうがいいな」ということを考えながら議論を進めることができます。
【3】いま「何を発言するのか」を明確にする
「売上改善について、皆さんの意見を聞かせてください」というだけの投げかけをすると、こんなことになってしまいます。
こんな状況、自分が司会をやっていたらと思うだけでもゾッとしませんか?
そして、実際にこんな感じで意見が飛び交う会議を見たことがある人も多いのではないでしょうか。
これではまとまらないのは当然です。
各々が、各々の目線の切り口で発言していた、その次元もバラバラです。
まず、「課題そのもの」か「原因」か「対策」か、何を挙げるのかを明確にする。
そして、できればそこからもう一歩方向性を絞って決められると理想ですね。
こんなふうになると、まとめやすくなった感じがしませんか?
議事録をとるにも「売上低下の原因」という見出しで、上の案を並べられますよね。
このあとの展開としては、「どこにフォーカスして対策をすると費用対効果が高くなるか」→「原因のうち◯◯に対してとれる施策は何か」といったイメージで、発言してもらう内容を明確にしながら進めていきます。
発言しやすい雰囲気をつくる
これは他と比べると少し難易度が高いものの、有意義な会議には欠かせない要素です。
ファシリテーターとしてのスキルを要するので練習や経験も必要ですが、あくまでも今回はできるだけすぐに実践できることに絞って紹介します。
一人ひとり指名して発言してもらう
「意見のある人は発言してください」という投げかけでは、上の役職の人や声の大きな人ばかりが発言して、前に出るのが苦手な人、遠慮がちな人が何も言えないまま終わってしまいます。
できるだけ、すべての人に均等に発言の機会を持ってもらうように意識してみましょう。
はじめは意見を言える人から発言してもらい、その流れであまり発言していない人、何か言いたそうな人を指名してもいいですし、一人ずつ順番に聞いていくのもいいでしょう。
こうすることで、全員が参加している意識をもつようになり、納得感を得やすくなります。
話を最後まで聞く
誰かの発言を途中で遮って、自分の話に持っていく人をたまに見かけますが、そういう人がいると会議の場の空気は悪くなります。
発言者からしたら当然ながら話を遮られれば気分は良くないですし、他の人も「続きが聞きたかったのに・・・」となっているかもしれませんよね。
誰のどんな発言であっても、話は最後まできちんと聞く。
これは会議のはじめに、全員共通のルールとして徹底するといいでしょう。
意見に対してネガティブな反応をしない
多くの人にとって、意見を言うのをためらう最大の理由は「反対・批判されたらどうしよう」というもの。
少なくとも、ファシリテーター役の人は、出てきた意見に対してはポジティブに返すようにしましょう。
参加者が発言しているときには、しっかり相槌をうって耳を傾けていることを伝えたり、「ありがとうございます。新しい視点からのご意見、いいですね」と前向きなコメントを入れるようにすると、発言者は安心します。
当然、反対意見が出ることはあると思いますが、相手の意見を全否定したり、話もまともに聞かずに否定のための否定をするような姿勢は論外です。
ファシリテーターに限らず、参加者全員で共有しておきたいマインドですね。
会議で最も重視すべきは、参加者全員の納得感
今回は、会議の生産性をアップさせるために、すぐにできることにフォーカスして解説しました。
慣れや参加者の理解もある程度は必要になるかもしれませんが、取り組み始めるには決してハードルの高くないことだと思います。
(そのうち、上級編の記事も書こうと思っています! そのうち・・・)
最後に、会議で最も大切にすることについてお話ししておきます。
今回の記事を書く上でも書籍を参考にさせてもらった、プロファシリテーターの園部浩司さんの言葉をお借りすると、会議で最も大切なのは「納得感」。
完全に全会一致で、というのは現実的ではありませんが、「自分の案も一部取り入れられた」とか、「自分の指摘で方向性が修正された」ということがあれば、ある程度の納得感は得られるものです。
少なくとも、「言いたいことは言えた」「きちんと意見を聞いてもらえて、検討された」という事実があれば、100%不満のまま会議を終えることはそれほどありません。
どうしても納得できていない人がいたら、重点的に話を聞いてみたりするといいでしょう。
全員が一定以上の納得感をもって会議を終えられるようなファシリテーションは、決して簡単ではありません。
しかし、会議の運営を変えていく上で、「全員の納得感」というキーワードはぜひ頭の片隅にでも置いておいてみてください。
経験を重ねていくことで、きっとこの意識が生きてくると思います。
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