数年前のブームもあって、ビジネスマンにはある程度知られるようになった「マインドフルネス」。
コロナ禍で家にこもる時間が増えたり、それによってストレス発散の機会も失ったという人が続出する中で、再度注目を集めるようになりました。
そこで今回は、マインドフルネスの概念を解説するとともに、それをチームで取り入れることの意義を解説していきたいと思います。
この記事を読むと・・・
●マインドフルネスの概念を理解できる
●仕事や勉強に取り組む集中力や効率をアップさせるコツを学べる
●過剰なストレスや感情の起伏をコントロールできる精神状態の作り方を学べる
●チーム単位でマインドフルネスを取り入れる意義や方法がわかる
もくじ
マインドフルネスを知ろう
「マインドフルネスな状態」とは?
マインドフルネスとは、「今の自分に気づけている心の状態」のことを指します。
少し言い換えると、自分の「今の状態」に向き合えている、集中できている、ということ。
たとえば、今あなたは今この記事を読んでいますが、きっと頭の片隅では他のいろいろなことを考えていたりするのではないでしょうか。
「これを読み終わったらメール返信しないといけない」
「なんでさっきあんなこと言っちゃったんだろう・・・」
「早く定時にならないかな」
「このあとのプレゼン、不安だな」
あるいは、耳では別の何かを聞きながら、テレビを見る傍らで読んでいる、という人もいるでしょう。
どこに強く意識が向いているかは別として、いずれにしてもこういう状態だと、心が散漫=マインドフルネスでないということになりますね。
普段、私たちの頭の中には過去や未来のこと、不安や欲望など、様々な雑念が渦巻いています。
タスクも情報も過多状態になりがちな現代に生きる私たちにとっては、特に顕著な状態と言えるでしょう。
この記事を読むときくらいはそんなに気にしなくてもいいのかもしれませんが、たとえば仕事をしているときに注意力が散漫になるとミスが出たり、あれこれ考えているうちに全然進まないまま時間が過ぎていく、という事態に陥ります。
ただ、今に集中して取り組めれば、仕事の質もスピードも当然アップしますよね。
現代のビジネスマンにマインドフルネスが注目される主な理由は、ここにあるのでしょう。
マインドフルネスに期待される効果
脳への効果
上にも書いた集中力のほかにも、記憶力や判断力、論理的思考力なども向上すると言われています。
これらの効果は、「目の前のことに向き合って集中する」と考えるとイメージしやすいですよね。
さらに、あれもこれも考えることによる負担が減る分、脳の疲労も軽減にもつながります。
精神への効果
マインドフルネスは、ストレスが軽減され、感情をコントロールしやすくなり、ポジティブに考えられるようになるなど、精神への好影響も確認されています。
結果として、幸福度が上がったり、共感度アップによりコミュニケーションも円滑に取りやすくなるという側面も。
さらに、不安障害や不眠症、あるいはうつ病などの症状改善にも効果が認められており、治療に取り入れられるケースもあるようです。
身体への効果
身体の緊張がほぐれて自律神経のバランスを整える効果があり、抗炎症作用や免疫力アップももたらしてくれます。
これらの効果から派生して、身体の痛みが軽くなったり、喘息を改善したりといった事例も確認されているようです。
マインドフルネス瞑想の方法
呼吸瞑想
一般的にイメージされる瞑想に最も近いのが呼吸瞑想。
静かで落ち着ける場所ならいつでもどこでもできるので、生活に取り入れやすいのが利点です。
まずは、椅子か床に座って、軽く背筋を伸ばした状態で肩の力抜き、リラックス。
ゆっくりと数回深呼吸をして準備を整えます。
目は閉じても閉じなくてもどちらでもいいのですが、慣れるまでは閉じたほうが意識を集中しやすいと思います。
準備ができたら、あとは自然な呼吸に意識を向けるだけ。
静かに息を吸うと、鼻から空気が入り、気管を通って肺に届く。
酸素が、血液に乗ってふわっと全身に広がっていく。
戻ってきた空気が、再び気管を通って吐き出される。
こんな様子をイメージしたり、お腹に手を当てて、空気が入ると膨らみ、出ていくと縮むのを感じたりと、とにかく「今この瞬間の呼吸」に意識を向けます。
合間に他のことを考えてしまったり、雑念が入ってきても気にしません。
「今、他のことを考えたな」と雑念を受け止めて、再び呼吸への意識に戻ればOKです。
「今」への意識に戻るときに、前頭葉に血液が集まって鍛えられていくので、「雑念が浮かぶ→戻す」という過程が生じれば生じるほど、効果が出ているとも言えます。
これを繰り返すのが呼吸瞑想。
最初は3分や1分から入れば大丈夫。
慣れてきたら、時と場合によって30分くらいの長時間やってみたり、5分で済ませたりと、調整できるようになっていきます。
食事瞑想(マインドフル・イーティング)
その名の通り、食事をしながらする瞑想。
皆さんは、ひとりで食事をするとき、スマホやテレビを見ているという人も多いのではないでしょうか。
そうすると、気が散漫になり、食べ物をじっくり味わうことはできません。
食事瞑想をするときは、いま食べているものだけに意識を向けます。
ひとくちずつ口に入れ、香りや味、食感、食べ物の形をしっかり意識して、よく噛んでから飲み込む。
そうして、また次のひと口へ。
という感じで、ゆっくり時間をかけて食事をしていきます。
これまで意識していなかった風味や、噛んでいくにつれての味の変化など、思いのほか気付けることは多いでしょう。
また、しっかり噛んで食べるため、満腹中枢も刺激され、食べ過ぎを防ぐことができるという点でもおすすめです。
ボディ・スキャン
自分の身体の状態に丁寧に目を向けるのが、ボディ・スキャンという瞑想法。
まず、仰向けに横たわって目を閉じます。
できるだけリラックスするために横になることが多いですが、座ったり立ったりした状態でもOKです。
深呼吸して楽にしたら、身体の部位一つひとつを意識していきます。
足の指先から、ふくらはぎ、腰回り、骨盤から胴体へ、お腹、胸、肩、腕から指先、続いて首、頭・・・と、決まった順番はありませんが、全身の状態を注意深く観察しましょう。
観察するポイントも自由。
例えば、お腹であれば呼吸とともに膨らんだりへこんだり。
足先が冷えていることや、肩に力が入っていることに気づくかもしれません。
最後は、身体全体に目を向けて、深呼吸して終了です。
チームでマインドフルネスを取り入れよう
マインドフルネスにチームで取り組むべき理由
コミュニケーションが良好になる
まず、マインドフルネスによって自己を俯瞰的に見ることができるようになると、相手の立場で物事を捉える「共感力」も高くなります。
当然ながら、共感力が活きるのは人とのつながりが生じる場面。
お互いに共感し合える組織は、コミュニケーションもスムーズになりますよね。
会話への集中力や、感情のコントロール力も、お互いに整っているといい関係が築きやすくなるのは想像に難くありません。
環境を整えやすい
瞑想をしようと思ったら、ある程度は外部の環境が整っている必要があります。
家にひとりでいるときになら落ち着いてできると思いますが、職場にいるときに、なかなか瞑想なんてしていられませんよね。
事情を知らない人が話しかけてくることもあるでしょうし、場合によっては「寝ている」と誤解されるかもしれません。
そこで、チームで取り入れて、その効果や習慣を共有することで、確実にマインドフルネスに取り組みやすい環境を作れます。
たとえば、朝礼のときに5分間瞑想の時間を取り入れれば、「一人でやろうとしても三日坊主に終わってしまう」という人だって嫌でも続けられることになります。
また、仮に一人で空いている部屋でやっていても、チームのメンバーが理解しているので「瞑想しているんだな」と思ってもらえるでしょう。
チームレベルの「いま」に向き合える
チームで取り組むマインドフルネスを突き詰めていくと、マインドフルネスの「自分の今の状態に気づく」というのを、チームレベルで実践することができます。
つまり、チームの今の状態を、ありのままに見られるようになるということ。
そうすることで、チームの目的や直面している課題、あるいは果たすべき役割や社会における立ち位置を、よりフラットな目で見ることにつながります。
組織の内部にいると、自分の組織を客観的に捉えるのはなかなか難しいものです。
やや抽象的で高度な境地ではありますが、チームを色々な角度から見て、本質を捉える手助けになるかも、くらいの認識で始めてみればいいと思います。
まとめ
今回の記事では、マインドフルネスの効果ややり方をチェックしたうえで、チームで取り入れていくことをおすすめしました。
ややスピリチュアルなイメージがあったり、あるいはなかなか時間が取れなくて習慣づけられないという人もきっと多いと思います。
ただ、効果は科学的にも証明されていますし、きちんとやれば色々な作業の効率が上がってむしろ時間は作りやすくなっていくはず。
慣れるまでは大変ですが、騙されたと思ってまずは1日3分程度、1〜2週間頑張ってみてはどうでしょうか?
チームを率いる立場の人は、ぜひそのチームでも情報を共有して取り組んでみてくださいね。